自己破産とは?

裁判所から、借金の返済を免除する決定(免責許可決定)をもらい、借金をゼロにする手続きです。

完済のめどが立たないほどの借金があり、借金をゼロにしてやり直したいという方には、自己破産をお勧めします。

自己破産手続きには専門的な知識や経験が求められるため、弁護士が代理人となって申し立てることがほとんどです。

そして、破産するには様々な条件がありますし、メリットもデメリットもあります。

基本的なことを解説していきますが、当法人に相談していただければ、破産する条件を満たしているか、他に良い選択肢が無いかなど、疑問や不安に思われることにお答えします。

すぐに依頼するかどうか決めなくても、一度相談をしておいて、見通しを立てることで気持ちが楽になる方も多いです。お気軽にご相談ください。

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破産のメリット

借金の返済義務がなくなる

「免責許可決定」を受けられれば、サラ金業者・銀行・日本政策金融公庫などからの借入金、取引先への未払金などを返す義務がなくなります。

毎月の返済や債権者からの取り立てに困っていた方にとって、借金をゼロにできるというメリットは非常に大きいです。

ただし、税金・国民健康保険の保険料・国民年金の保険料・養育費などは「非免責債権」とされており、破産しても返済する必要があります。

破産手続開始決定後の収入は自由に使える

破産手続きを開始する条件を満たすと裁判所が判断すれば、「破産手続開始決定」が出されます。

その後も4ヶ月〜1年ほど破産手続き自体は続きますが、破産手続開始決定後に新たに得た収入や財産は、自由に使うことができます。

つまり、本来返済に充てる必要があった収入を生活費や貯金に回せるようになるので、早期に生活を建て直すことができます。

破産のデメリット

原則として99万円を超える財産は手放す必要がある

破産すると、原則として99万円を超える財産は処分して、債権者に配当する必要があります。

ですから、99万円を超える現預金・不動産・車・保険(解約返戻金)などの財産を失うことになります。

ただ裏を返せば、99万円以内の財産は「自由財産」として残すことができます。

また、生活に必要な衣服・寝具・家具・台所用具なども、これとは別に残すことができます。

残すものは現預金が基本ですが、生活上車が必要な方は車、病気や高齢で保険に入り直すのが難しい方は保険を残すことが多いです。

ただ、合計99万円以内なら自由に残せるわけではなく、残すべき理由を説明したり、金額の評価も必要です。

これについては専門的な知識や経験が必要ですので、ぜひ弁護士にご相談ください。

資格によっては制限を受ける

破産手続開始決定が出ると、資格によっては、持っている資格を失ったり、取得できなくなるという制限があります。

他人の財産に関わる資格が多く、例えば、警備員・生命保険募集人・建設業・宅地建物取引主任者などです。

もっとも、破産手続きが終われば(免責許可決定が確定すれば)、制限がなくなる場合が多いです。

当法人の経験では、一般的な会社員やパートの方であれば、資格制限が問題になることは少ないです。

ご自身の資格が制限を受けるか知りたい方は、一度当法人へご相談ください。

官報に掲載される

官報とは、法律改正などを知らせる、国が出す新聞のようなものです。

官報には、破産手続開始決定が出た時と免責許可決定が出た時に、氏名と住所が掲載されます。

もちろん官報を見れば、破産したことを知られてしまいます。

ただ、買える場所は限られており、インターネット上でも見られますが、普段見ない人が偶然目にする可能性は非常に低いです。

ですから、官報を通じて家族・友人・同僚などに知られる可能性は非常に低いですが、「可能性はゼロではない」という意味ではデメリットです。

いわゆる「ブラックリスト」に載る

これは、信用情報機関に事故情報として登録されるということです。

登録されてしまうと、数年間は新たな借り入れをしたり、ローンを組んだり、クレジットカードを作ることができなくなります。

これは破産に限らず、個人再生や任意整理でも同様です。

もちろん、銀行口座を作ることは問題ありませんし、住民票や戸籍にも載りません。

どういう場合に破産できるの?

破産できるのは、支払不能にある場合です。

支払不能とは、収入や財産が不足するため、支払い期限が来た借金全額について、支払えない状態が続いていることです。

例えば、新たに借金をしないと、期限が来た借金全部を返せない自転車操業状態になっている場合です。

破産できない場合はあるの?

「免責不許可事由」があると、借金がゼロにならない場合があります。

免責不許可事由とは?

破産法252条1項に定められていますが、よく問題になるのは次の事由です。

  • 浪費(無駄遣い)、パチンコや競馬などのギャンブル、株・FX・仮想通貨取引などによって、大きく財産を失ったり借金が増えた場合
  • お世話になった人に迷惑を掛けたくないなどの理由で、一部の債権者の存在を隠したり、一部の債権者にだけ返済した場合
  • 破産によって財産を失うのが嫌で、預金・保険・車などの財産を隠したり、不当に安い値段で売却した場合

免責不許可事由があっても、免責が認められる場合とは?

程度の差はあっても、免責不許可事由がある方は少なくありません。

そこで、免責不許可事由があっても免責を認める、つまり借金をゼロにする「裁量免責」というものがあります。

裁量免責を得るには、様々な事情を考慮して、「免責を許可することが相当である」と裁判所に認めてもらう必要があります。

そのために、

  • 反省していること
  • やむを得ない事情があったこと
  • 免責不許可事由の程度が重くないこと
  • 免責を認めてもらう必要性が高いこと
  • 経済的に立ち直る努力をしていること

こういった有利な事情を、弁護士からしっかり主張する必要があります。

そのためには、破産に関する経験や知識が非常に重要です。

当法人では

  • パチンコや競馬といったギャンブルをされていた方
  • 高級ブランド品の購入やスマホゲームの課金といった浪費がある方
  • 一部の債権者だけに隠れて返済したり、一部の債権者の存在を隠していた方

こういった方でも、裁量免責を得た多くの実績があります。

免責不許可事由がある方でも、諦めずにご相談ください。

2種類の破産手続き

破産手続きには、「管財事件」と「同時廃止」があります。

管財事件

管財事件では、裁判所から選任された破産管財人が、財産を現金化して債権者に配当したり、隠している財産や免責不許可事由がないか調査したりします。

ケースバイケースではありますが、破産申立を行ってから、半年〜1年ほど掛かることが多いです。

また、同時廃止と比べて、裁判所に支払う予納金も高額となります。

管財事件になる場合

裁判所によって運用が異なりますが、例えば次の場合は管財事件になるとお考えください。

  • 99万円を超える財産を持っている場合
  • 99万円以下の財産しか持っていないが、裁判所が定める金額以上の財産が含まれる場合
  • 免責不許可事由の有無について調査する必要がある場合
  • その他、裁判所が管財事件にすべきと判断した場合

同時廃止

管財事件の場合は、破産手続開始決定の後、管財人の業務が終わってから破産手続きが終了します。

しかし同時廃止の場合は、管財人が選任されないため、破産手続開始決定と同時に破産手続きが終了します。

とは言っても様々な手続きが必要であるため、全て終わるまでに、申し立てから4ヶ月程度は掛かります。

同時廃止になる場合

  • 99万円を超える財産を持っておらず、裁判所が定める金額以上の財産も含まれない場合
  • 免責不許可事由が無い場合など

破産手続きの流れ(管財事件の場合)

①ご相談

まずは法律相談をお受けし、手続きの選択や費用のご説明などを行います。

②ご依頼

正式にご依頼いただきましたら、各債権者に対し、代理人弁護士として速やかに受任通知を送ります。

これによって債権者からの取り立ては止まり、それ以降の連絡は、全て代理人弁護士に来るようになります。

また、債権者に対し、債権額を書いた書類・取引履歴(借り入れと返済が一覧になった書類)・契約書などを送るよう求めます。

③破産申立準備

債権者から送ってもらった取引履歴をもとに、法定利率に従った引き直し計算を行い、債務額を確定します。
過払い金が発生していれば、この段階で請求することもあります。

また、破産申立には、様々な書類を作成したり、資料を付ける必要があります。

依頼者からも、通帳を始めとした様々な書類を提出いただいたり、お話を聞かせていただきます。

当弁護士法人では、弁護士・事務局が、スムーズに準備ができるようサポートいたしますのでご安心ください。

ケースバイケースですが、①〜③までで、大体2~4ヶ月掛かります。

④破産申立

申し立てを行い、裁判官と面接します。

弁護士のみで対応いたしますので、依頼者の出頭は不要です。

⑤破産手続開始決定

面接から1週間程度で、破産手続開始決定が出され、破産管財人が決定します。

⑥破産管財人との面談

管財人が決定してから速やかに、申立代理人弁護士と破産管財人が面談を行います。

面談の目的は、書類の引き継ぎや、申立て内容に関する質疑応答などです。

管財人の事務所で行うことが多いですが、決まりはありません。

また、管財人から希望があれば、破産者も同席する必要があります。

ただ、申立代理人がサポートしますので、心配する必要はありません。

⑦債権者集会

破産手続開始決定から3~4ヶ月後に行われるもので、管財人が財産や管財業務の状況を報告したり、債権者から意見を聞いたりします。

債権者には出席する権利がありますが、サラ金業者や銀行などはほとんど出席しません。

ですから、債権者が誰も来ないことも珍しくありません。

代理人弁護士と破産者の出席が必要かどうかは、事案の内容などに応じて管財人が判断しています。

債権者集会は、1回で終わることもありますが、不動産を売却したり、配当が必要な場合などは、数ヶ月おきに3~4回行うこともあります。

⑧免責許可決定

最後の債権者集会から1週間程度で、裁判所が借金をゼロにして良いかどうかの判断をします。

そしてゼロにして良いと判断すれば、免責許可決定が出されます。

⑨免責許可決定の確定

官報に掲載された後、確定します。⑧から⑨までは1ヶ月程度です。

以上で破産手続は終了し、非免責債権以外は返済する必要がなくなります。

破産手続きの流れ(同時廃止の場合)

上記①〜⑤までは同じですが、⑥以降が異なります。

⑥免責審尋

借金をゼロにして良いかどうか裁判所が判断するために、直接破産者から話を聴く手続きです。

破産手続開始決定から2~3ヶ月後に指定されることが多いです。

⑦免責許可決定

⑥から1週間程度で、裁判所が借金をゼロにして良いかどうかの判断をします。

そしてゼロにして良いと判断すれば、免責許可決定が出されます。

⑧免責許可決定の確定

官報に掲載された後、確定します。⑦から⑧までは1ヶ月程度です。

以上で破産手続は終了し、非免責債権以外は返済する必要がなくなります。